京かみあん~言葉のはなしをあれこれと~

『誰も知らない京の街は もっと面白い!』

お墓をもとめるのも、大変!

 

 

  いくらなんでも、ピッ、ピッ......ポチ!

   では、   お墓は「もとめられません」!

 

 

 

.....アマゾンで、ボタンを押せばすぐに品物が手に入る.....当世。

なんでも、スマートフォンで手に入ると思っている「ひと」は....多いみたいです。

 

ある、お寺様のお話しから......

 

 

.......かって、首都圏でバリバリ働いてこられた団塊世代の夫婦。

 

何を思われたのか、

定年後のすみかを「京都」でと想われたそうです........。

休日のたびに、ご夫婦で旅行方々、「楽しん」で探されたそうです。

すみかの先には、「お墓もとめたい」と.....、

今度は京都中のお寺をくまなく探されたんです。

 

 

それは、ある日

突然.....見つかりました。

自然林の中にある山寺のお墓地。

交通の便はそんなに悪くもなく、かといって閑静さはそこなわれていない

.....最高のロケーション。

 

早速、そのお寺へ出向いて

お墓を求めているのですが.....

と申し上げましたところ、

「では、この用紙に必要事項をご記入ください。」

と......こころよく受け付けていただいたそうです。

 

「.....よかった、目出度し、目出度し!これで安心だ!」

と思われたのですが.....、

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 .......ところが、ところが、

待てど、暮らせど.....

そう、1ヵ月たっても、

.....何の返事もありません。

 

ご夫婦の身辺整理に手間取っている間、

半年がたち、.....そして、1年半の月日が流れていました。

けれども、お寺からは、何の返答もありませんでした.....。

 

ようやく、気持も、物の整理がつき始めた頃.....

ご夫婦は、「いくらなんでも」と思って、

久しぶりの京都旅行方々、お寺をたずねてみました。

 

 

ご住職様と和やかなお話し合いがあって....、

 

今でも、私どもの寺でお墓をおもとめですか?

とご住職様。

つづけて、

「寺があなた方に何をしてさしあげられるのかを期待していただくのではなく、

これからお壇家、ご信徒になられるあなた方が私どものお寺に何ができるのか

をお考えいただきたいのです。」

と。

「私どもにお墓をもとめられるのは、たいへんありがたいことですが.......

インターネットのアマゾンのように、ボタンを押せばすぐに品物が手に入るの

と同じように考えていただいては、少なくとも私どものお寺では困ります。

お受けしたら、お寺はずーっとお墓をおまもりすることになります。

お世話させていただくにはお寺もずーっと存続させなければなりません。

住職一人で、すべて出来ることではありません。

お壇家様、ご信徒様のお力添えがあって成り立っているわけですから、求めた

らおしまいでは決してないのです。どうか、ご理解いただきたく存じます。」

 最後に、

「お連絡もさし上げなかったご無礼は、どうかお許し下さい。」

と頭を下げられ、

「私どものお寺でぜひと仰っていただく方とお付き合いさせていただきたく思

っております。.....ですから、当院からは、あえて、ご連絡を差し上げており

ませんでした。」

 

 

それでも、それでも.....

ご夫婦の熱意はかわらず....さらに、2~3回のご住職様とのお話合いをへて、

とうとう、「お墓を求めることができた。」そうです.....。

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....ひととの「お付き合い」は「縁(えにし)」なんですよね。

対面」して、「よく、お話し」して、そしてお互いが「共存」してゆけるか

どうか.....だと思います。

すくなくとも当院では、「縁(えにし)」がなければ「お墓のお守りすること」

などできない....と思っております。

 

 

 

わたし自身でも.....、

考えさせられる「お話し」だと思いました。

....だって、インターネットショッピングで

「ピッ!ピッ....ポチ!」と安易に決済して

いる「自分」も.....おんなじ! なんです、から......。

 

 

また、また。

ですが.....7月1日(おついたち)は休刊~です。

2日からヨロシク